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ぼくはそこにいない [From Tokyo]
まぎれもない現実逃避なんだけど、この一週間で映画を8本。
トッド・ヘインズの『I'm Not There』は是非いつか観てほしい作品。ボブ・ディランの伝記映画と銘打っていながら、女優から黒人少年まで人種も性別も年齢もバラバラの俳優たちが、ディランのさまざまな側面を「分担」して演じるところに仕掛けがある。たとえば天才的な詩人、予言者、無法者、映画俳優などなど。彼らは違う名前で呼ばれるし、生きている時代も場所も違う。ただ、彼らはすべて、それぞれ抜き差しならない方法でディランにつながっている。私たちはこの6人が「ディランではない」ことを知っている。つまり、ディランが「演じられている」ことは分かり切っている。だからこそ、そこではつねに「ぼくはそこにいない」と言うディランが、空白点として存在することになる。分有される、空白の、ディラン。私たちはそのまわりをまわりつづける。
いったい、本人がそこにいないことを知りながら、そこにいない本人について語り続ける以上に、献身的な行為があるんだろうか。ちょっとクサい言い方をすると、『I'm Not There』はディランを愛することについての映画としては多分ただしい。ちなみにこの映画のサントラはヨラテンゴ、ソニック・ユース、スフィアン・スティーヴンス、スティーヴン・マルクマス、キャット・パワー、アイロン&ワインらによるディランのカバー集になっていて、そこにはやっぱり(インディー系アーティストの)トリビュート精神が生きている気がする。キーワードは献身。
さて、この映画を見ていて強く思い出したのはマイケル・カニンガムの『星々の生まれるところ』という小説。これも、ウォルト・ホイットマンという19世紀詩人をめぐる、きわめて献身的な物語(群)です。同じように狂おしい気持ちになります。きっと君も好きじゃないかと思って書きました。
雪の降る街を [From NJ]
雪の降る街を 雪の降る街を
想い出だけが 通りすぎてゆく
雪の降る街を
遠い国から おちてくる
この想い出を この想い出を
いつの日か包まん
あたたかき幸福(しあわせ)の ほほえみ
(作曲・中田 喜直/作詞・内田直也)
ヒップホップと現代音楽 [From Tokyo]
Olympus Pen-EE (ハーフサイズカメラ)
帰国してからCD屋さんに出かけることが少なかったのだけれど、これはいかん!と思って先日、吉祥寺のタワレコに行ってみた。行ってみたら、やっぱりネットを利用するよりももっとずっと有形無形の情報を仕入れられるもんだな、と思ったよ。当たり前だけど。
『風とロック』11月号がオノ・ヨーコ特集で「お」と思ったのがひとつ。『bounce 2008/12 (T-Pain特集)』に、ヤン富田さんのヒップホップに関する発言が引用されてたのもおもしろかった。いわく、ヒップホップというのは手法としてつきつめれば現代音楽や現代美術にぶちあたる、んだと。例として挙げられてたのは、テープコラージュ(現代音楽)とサンプリング(ヒップホップ)の相同性。それはもうそのままイエス、そのとおり。なのではないか。10年くらい前にライヒ好きの I 先生がやたら「ぼくサンプリングが気になるんだよね」といっていたのも、いまになると腑に落ちたりする不勉強な自分ではある。
でも今日聴いているのは、二階堂和美『ニカセトラ』。これはもう文句なしの今年度No.1かもしれない。
上手な負けかた [From Tokyo]
地を這う日々が続いています。
昨日は肩が凝りすぎて吐きそうになり
駅ビルの「てもみん」へ。
マッサージ師さんは体を触って
「パソコンですね。左に置いてますね」と鋭いひとこと。
体はなーんでも知っている。
さて。今日は夕方、渋谷パルコ劇場で
劇団本谷有希子『幸せ最高ありがとうマジで』。
経営難の新聞屋を舞台に、
いつも通り「ふつうな顔をした、許しがたいほど鈍感で
しかしそれゆえしぶとく、底知れぬ人びと」と、
「鋭敏ではあるが才能があるわけでも強いわけでもなく、
それでいてプライドが高いために負けを認められないアタシ」の衝突を描く。
本谷さんの作品はいつも、
「夢は見るよりも、破れたあとの方が、ずいぶん長い」ということを
遠慮なく教えてくれると思うのだけれど、
劇の構成の上でも、いったん仮のクライマックスを迎えたあと、
最後のオチにたどりつくまでの道筋が、やや長いのです。
つまりキモはあくまでアンチクライマックスにあるように見えるわけですが、
今回は残念ながら、
主役の永作博美がかわいすぎて、崇高に輝く瞬間すらあり、
「うまく負ける」ことができてなかったように思います。
だって全然イタイ人じゃないんだもの。
いずれにしても作品はやっぱり巧みで、
頭のなかがマッサージされた。ような、気がする。
タグ:演劇
試し撃ち [From Tokyo]
ずっと家にいると、くさくさします。
というわけでジャンクで買った Polaroid Colorpack 100 のテスト撮影に。
とりあえず撮れることが分かったから、これから練習してみます。
なら、左目の言うことを聴け [From Tokyo]
Dreams are hopeless aspirations
in hopes of comin' true.
Believe in yourself.
The rest is up to me and you.
- Lisa "Left Eye" Lopez
体調悪し。起きていても集中力なんて続くはずないのに
眠れないから本を読みます。少しでも前に進むために。
レフトアイはとびきり才能にあふれていて、可愛くって
と同時に、ずば抜けて頭がおかしかった。
絶望的な憧れ (hopeless aspirations)。すばらしいと思いません?
彼女みたいにポックリ死んでしまうのはごめんだけれど、
手放さないで、憧れつづけるのは、ちょっといいなと思うのよね。
タグ:quotes
ニーチェ! [From Tokyo]
仕事、1ピコも進まず。むしろ後退。
自信がないから本を読む → 自分の不勉強を痛感 → さらに本を読む → (エンドレス)。
うっぷんがたまるのでニーチェを叫ぶ。
Art and nothing but art! It is the great means of making life possible, the great seduction of life, the great stimulant to life. Art [i]s the only superior counterpart to a will to denial of life.
--Friedrich Nietzsche, The Will To Power.
ややすっきりする。
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